【完】いいかげん俺を好きになれよ
あたしがそう言うとなぜかアユは少し黙って、それから口元を隠すように手で覆った。
「……っ、アホ//」
……??
「はい、持ってきたよ。
消毒しよ」
手当ての用意を持って、丸い回転イスにアユと向かい合ってあたしも座る。
「…じっとしててね」
手に持ったコットンに消毒液を浸して。
そしてそれをピンセットでつまんでアユの口元の傷にあてた。
「……っ、」
「あっ…痛い?」
「……別に//」
とか言ってけっこう痛そうな顔してたんだけど、今。
素直に言わないところがまたアユらしい。
こういうところがちょっと可愛いんだよね(笑)
たまにムカつくけど。
意地っ張りなんだもん、アユって。
「あーでも…まさか殴っちゃうなんて思わなかったよ」