【完】いいかげん俺を好きになれよ
アユはそう言うと、何を思ったのかうつむいて目を伏せた。
あたしはそれを見て少し胸が痛くなる。
もしかしたらアユだって、すごく後味悪かったりするのかも…。
いや、そうだよね。
仲のいい、あたしよりずっと付き合いの長い先輩を殴ったわけだもん。
あたしにとって今井先輩は最低な人だったけど…アユはあまりいい気分じゃないよね。
「口…切れちゃったね…」
あたしはそっと、彼の口元に絆創膏を貼り付けた。
髭ひとつ生えてないツルツルな肌はあたしよりキレイで、だからこそ余計に痛々しく見える。
こんなにキレイな顔に怪我させちゃったんだ…。
あらためて申し訳ないよ。