病院嫌い
『彩夏、嘘はつかないで。今日、花菜ちゃんに聞いたから。 注射が怖いのはわかるけどちゃんと受けないと』
少しきつめの口調でそう言うと……。
『……ヒック ヒック ごめんなさい。 でも、私、注射やりたくない。 痛いのはやだ。 グスッ 』
彩夏は涙をボロボロこぼして泣いていた。
俺は無意識のうちに彩夏のことを抱きしめていた。
これだけ泣かれると心が苦しい。
大好きな人をこんなに泣かせたくない。
……でも、受けないと後で彩夏が苦しい思いをするかもしれない。
『怖いと思うけど、明日、受けに行こう。』
心を鬼にしてそう言った。
『嫌……グスッ… ヒック… ヒック…』
『嫌なのはよくわかるけど、俺は注射を受けないであとで病気で苦しむ彩夏を見たくない。 だから、頑張ろう。
大丈夫だから。』
彩夏が少しでも安心できるように、抱きしめて優しく背中をたたいた。