病院嫌い
ーガラッ
『点滴を持ってきました』
『とりあえずそこに置いて』
『はい』
看護師は点滴を置くと部屋から出ていった。
点滴を持って彩夏ちゃんに近づくと彼女は大きな目に涙をためながら『嫌だ、 やりたくない』と言った。
心が傷んだけど点滴をしないで苦しむ彩夏ちゃんを見たくない。
『注射が苦手なのはわかるけどこのままだと辛いのは彩夏ちゃんだよ。 痛いけど少し頑張ろう』
『嫌だ。 辛くてもいいからやらない』
『そういうこと言わない。 少し頑張るよ』
そう言って彩夏ちゃんの手を持って消毒をして注射を打った。
『……痛い』
彩夏ちゃんは号泣してしまった。
『よく頑張ったね』
俺がそう言うと『グスッ 先生嫌い………』と言われた。
そんなにストレートに言われると傷つくよ…………………。
しばらくすると彩夏ちゃんは寝た。
『ごめんよ 俺だって好きで泣かせているわけじゃないんだよ。 早く元気になってくれよ。』
彩夏ちゃんの頭を撫でてから病室を出た。