夏恋~ひまわりと太陽~
気付けばもう夕方になっていた。
あんなに青かった海が、今は真っ赤に染まっている。
「葵ちゃ~ん!!もうそろそろ帰ろっかー!!」
「はーい!あれ?蓮は?」
「蓮くんならトイレ行くって行ってたよ」
はぁ~…。
帰りたくないなぁ…。
帰るのが惜しい気がして仕方がないよ…。
あたしは波際に座った。
足の先ギリギリに波が押し寄せる。
サンダルののかかとの部分で砂を彫っていた。
“またみんなでこられますように”
「葵!!何やってんの?」
「きゃっ!!れ、蓮!?」
突然両肩をポンと叩かれたので、また叫んでしまった。
さっき書いた字を見られたかと思い、慌てて砂を見たけど、波に消されて無くなっていた。
ただの文字なのに、凄く寂しくなった。