私だって泣きたいこともある
part 1
珠洲(すず)は、旧財閥・滝田家の直系にあたる生粋のお嬢様。

幼稚舎から青扇学園に通うグループ”A”の代表的存在の1人でもある。

常に取り巻きを従えて
廊下でも道でも、珠洲は中央を歩く。

彼女はそれが当然だと思っている。

 自分は”譲られるべき存在”だと。





「す…すいません」

珠洲は今も”譲らなかった”相手に、怒っていた。



「あーぁ

 ペンケースの中身まで出てしまったわ」



ぶつかってしまったのは隣のクラスの女の子、サチ。

サチは学園の階級で言えば、最下級ともいえるし普通ともいえる”ノーマル”だ。


廊下に這いつくばるようにして、
珠洲のペンケースの中身を拾っている…。
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