冷血ラブリズム~続編、5日更新~
「でー、だから植物と動物の細胞の違いはー……」
微かに聞こえてくるような、先生の声になんて反応できなかった。
ただ静かにあたしの方を見て、悲しげな色を灯した弥月の目が胸にズキズキと痛みを覚えさせる。
痛そうに、小さく顔を歪めてあたしから目を逸らした弥月の顔が…信じられなかった。
「せっ先生!哀川くん、具合悪いみたいなので保健室行っていいですか?」
パッと口走って、どきりと心臓が跳ねた。
驚いたみたいにあたしの顔を見た弥月と、クラスの人の視線が痛かった。
「…っなにしてんの?」
小さな声でそう言って、あたしの制服の袖を引っ張った佳代は、あたし以上に恥ずかしそうだった。
「哀川、具合悪いのか?保健室…「…はい。行ってきます」
ガタンと音を立てて椅子から立ち上がった弥月は、あたしの方に少し視線を送る。
……なに?
「…先生、付き添いで浅野(あさの)さんについて来てもらっていいですか?」
わざと苦しそうに話す弥月に、先生は本当にきついのだと思ったらしくダメとは言わなかった。
「…頼んでもいいか?浅野」
その言葉に、表情に…異常なほどドキドキとした。
少し目を伏せて、申し訳なさそうな顔をしている弥月なんて……。
そしてその表情に、昔の弥月の言葉を思い出したあたしがいた。
あたしが告白した時も…こんな風に少し目を伏せて、
「…いいよ。浅野」
って少し冷たく言われたのを覚えてる。
「…うん」
過去に少し思いを巡らせて、あたしは弥月にそう答えていた。