冷血ラブリズム~続編、5日更新~
カツン…カツン…と階段を降りる音でさえ、心臓の音に反響してるんじゃないかって思う。
今のあたしはそれくらい、弥月の傍にいる事にドキドキしてる。
「…なんで、俺が具合悪いって思ったんだよ」
チラリとあたしの事を横目で見て、また前に視線を戻した弥月。
なんでって、そんなの…。
「弥月が…なんか痛そうな顔してたから大丈夫かなって」
あたしも弥月から目を逸らすように、俯いて答えた。
「桜花は…」
そこまで言って、あたしの方を向く弥月の顔はやっぱり何か痛そうな顔をしていた。
弥月は何を苦しんでいるの?
なにに痛がっているの……?
「……やっぱりなんでもねえ」
ふっと視線をあたしから外して、また階段を降りる弥月を見てるとね。
悲しくなるんだよ。
何にも自分の事話してくれなくて、あたしの話も流して姿すらまともに見てくれない。
あたしって弥月の傍にいる「価値」が「意味」があるの…?
ふわりと揺れる弥月の髪の毛が、遠く感じた。
ジワリと歪んでいく。弥月も歪んでいく。
ねえ。あたしって弥月の彼女なのかな?
全部疑問ばっかりしかないこの関係って、なんて呼ぶの。
グッと唇を噛んで、涙をこらえる。
泣いていたってしょうがない。
そろそろ終わりにした方がいいの?
弥月の後ろ姿もなにもかも歪まないように、目に思えていたいと思った。