10年後も、キミと。
「俺、あの日、ゆりちゃんと話したくて、ちょうど部活も雨で休みだったし、駅で待ち伏せしてたんだ」

「そうだったんだ・・・」

「そしたら、ゆりちゃんと雅人が並んで歩いてきたから、すごいショックで。
俺、ガキだったからさ、堂々と二人に挨拶すればよかっただけなのに、何も言えずに帰っちゃってさ。

慣れないことするもんじゃないな、ってめちゃくちゃ後悔した」

「誤解させちゃってごめんね、ツラかったよね」


私だって、逆の立場だったら、挨拶できないと思うから。

素直に、ごめんねっていう言葉が出てきた。




雅人くんは、私の目をまっすぐ見て、言った。



「ゆりちゃん、やっぱ、優しいな。
俺、惚れなおした」


「・・・えっ、今のって・・・」


「もちろん、俺のゆりちゃんへの、素直な気持ち」
< 106 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop