10年後も、キミと。
「ごめんね、またびっくりしちゃって、何も言えなくて」

「ほんとは、明日会ってから言おうと思ってたんだけどさ、今日のゆり見てたら、誰かにとられちゃう前に言わなきゃって焦っちゃった」

「そんな、とられるなんてこと、あるわけないのに」

「なに言ってんだよ、芳樹になんか言われただろ?」

「えっ、どうして知ってるの?」

「やっぱそうか、いや、聞いたわけじゃないけど、なんとなくふたりの雰囲気見てたら、そうかなと思って」


雅人くん、どうしてそんなに鋭いんだろう。


「でも、明日またゆっくり話そう」

雅人くんは、私の頭をポンポンたたいて、みんなのところへ戻っていった。


私は、気づいてなかったんだ。

そんな私と雅人くんのやりとりを、芳樹くんが見ていたことに。
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