10年後も、キミと。
「そんなに緊張しなくていいからさ。

そこ、座って」

雅人くんは、笑って椅子をすすめてくれた。


「ここ、俺が中学の時から使ってる練習スタジオなんだ。

日本は2年ぶりだから、やっぱりここで練習したくて。

なんか、弾いてほしい曲はある?

・・・って、突然言っても浮かばないよな」


雅人くんは、ひとつ深呼吸すると、曲を弾き始めた。


緊張がとけていく、優しいメロディ。

目を閉じたら、情景が浮かんでくるような曲。

雅人くんは、時々私の表情を見ながら、弾いていた。


ずるいよ、雅人くん。

こんな状況で、雅人くんを好きにならない人なんて、いないよ。

< 129 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop