10年後も、キミと。
雅人くんが弾き終わると、私は立ち上がって、精一杯の拍手をした。

「ありがと」

「月並みなことしか言えないけど、感動した。」


雅人くんは笑うと、急に真顔になって、私の顔を見た。


「あのさ、俺、昨日、芳樹に呼ばれてさ」

「えっ?」

「同窓会の帰り。二人で、飲みに行ったんだ」

「そうだったんだ」

「そこで、芳樹に言われたよ。

俺も昨日、ゆりちゃんに付き合って、って言ったって」

「・・・うん、それはほんと。

言えなくてごめんね」

「いいんだ、それは。ゆりが悪いんじゃない。

俺たちがたまたま同じ時期に、同じ人を好きになっただけだから」

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