10年後も、キミと。
学食でお昼を食べて、バイト先へ向かう。

今まで何度も繰り返してきたことなのに、芳樹くんが迎えに来ると考えるだけで、いつも見慣れた風景が違って見える。

制服に着替えたら、さすがに落ち着いてはきたけれど。

バイトが終わるのを、こんなに待ち望んだ日はなかった。


閉店まで、あと30分。

後片付けをしつつ、通常業務をこなす。

惣菜コーナーはにぎわっているけれど、閉店近くのケーキ屋は、静かなものだ。


ショーケースの中のケーキを並べ直していたら、

「すみません、おすすめはどれですか?」

と聞かれたので、

「いらっしゃいませ、こちらの今月限定の・・・」

ってお客さまの顔を見たら。


芳樹くんが笑ってた。


「来ちゃった」

そんな笑顔で言われたら、怒れないよ。
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