10年後も、キミと。
#9

空港での別れ

次の日。

あまりよく眠れないまま大学へ行くと、コーヒーを持った利絵が前から歩いてきた。

「おはよう」

「おはよ。

ゆり、ヒドイ顔だよ、美人が台無し」

「うん、あんまり眠れなくて」

「祐也から聞いたよ。

細谷、相当ヘコんでたって。

今ごろあっちの大学で、慰めてもらってんじゃない?」


「利絵、私、どうしていいかわからなくて」

「じゃあ、無理に結論出さなくてもいいんじゃない?」

「えっ?」

「だって、ふたりと再会したばっかりなのに、どっちか選べなんて、ちょっと酷だと思わない?

ランチのメニュー決めてるんじゃないんだし。

決められません、って言えばいいじゃん」

「でも、雅人くんは明日、日本を離れちゃうし」

「別に、永遠に離れちゃうわけじゃないでしょ?

遠藤が運命の相手なら、また巡り会えるよ」
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