10年後も、キミと。
水曜日。

今日私は、雅人くんにサヨナラを言わないといけない。

せめて、見た目だけでも華やかにしようと思って、花柄のワンピースで大学に向かう。


まず、利絵に話を聞いてもらおう。

そう決めて大学最寄り駅の改札を通ったところで、

「ゆり!」

と、芳樹くんの声がした。


「芳樹くん」

「ごめん、忙しい時間に」

「ううん、まだ大丈夫だけど、どうしたの?」


「今日、雅人と会うんだろ」

「・・・うん」

「会うな、って言いたいとこだけど、それはフェアじゃないからさ。

俺、ゆりのこと信じて、待ってるから」

「うん、わかった」

「じゃ、俺、今日バイトだから、会えないけど。

また電話する」

「うん、家に着いたら、連絡するね」



「細谷、不安なんだね」

その声に振り返ると、利絵が立っていた。

「どこから聞いてたの?」

「細谷が、ゆり!って叫んでたとこから。

付き合うと、呼び捨てになるんだねー、細谷って」

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