10年後も、キミと。
ふと気づくと、目の前に雅人くんが立っていた。


「ゆり、早いね」

「うん、なんだか落ち着かなくて、早く来ちゃった」

「そこはさ、嘘でも『会いたかったから』とか言えよ」

雅人くんは、私の頭にポンと手をおいた。


だめ。

ドキドキして、何も言えない。


「まだ時間あるし、天気もいいから、展望デッキに行かない?」

「うん」

黙ったまま、雅人くんについていく。

気まずい沈黙が続いたまま、デッキに着いてしまった。
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