10年後も、キミと。
私が先に入って、髪と体を洗って、芳樹くんを呼んだ。

恥ずかしいから、背中を向けて湯船で待っていた。


芳樹くんがシャンプーしてる。

体を流してる。

もうすぐ、芳樹くんが湯船に入ってくる。

湯船のお湯があふれて、背中から抱きしめられた。


「だいじょうぶ、のぼせてない?」

「だ、だいじょうぶ」

心臓が、これ以上ないくらい速く動いてる。


「ね、ゆり、こっち向いて」

お湯は入浴剤で白濁してるっていっても、ハダカだし。


「恥ずかしいよ」

「俺だって、心臓バクバクしてるけど、ゆりの全部が欲しいんだ」


そう言って、強引に振り向かされて、キスされた。


熱い、熱い、キス。

頭がボーッとする。


「おんなじシャンプーのにおいがする」

そう言って、ぎゅっと抱きしめられた。


「俺だけのゆりに、なってくれる?」


イヤなんて、言えない。

言えるわけない。


返事の代わりに、目を閉じた。


お風呂の中で、体じゅうにキスされて、優しくさわられて。

気がついたら、湯船に腰かける芳樹くんの上で、ひとつになった。










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