10年後も、キミと。
「川口さんが、お店で余ったプチギフトをくれたの。

ふたりで食べてだって」

「俺、食べないよ」

「どうしたの?

なんで怒ってるの?」

「なんでって、そんなこともわかんないわけ?」

「川口さんのこと、気にしてるの?」

「そうだよ。

バイト先で何かあるんじゃないかって、心配してるんだよ」

「何もあるわけないでしょ」

「わかったよ。

何もないなら、それでいいんだ。

ケンカはやめよう」


悲しかった。

本当に、何もないのに。

信じてくれてないんだ。

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