10年後も、キミと。
芳樹くんはいつも、ブラックコーヒーを頼んでたね。

私がたまに注文するケーキを、ばくっと一口食べるのが好きだったね。

私の眼をまっすぐ見て、話を聞いてくれたよね。


もう、あんな風に会わなくなるんだね。


「ゆり、言い訳していい?」

「うん」

「あの日一緒にいたのは、サークルの後輩の女の子で。

先輩に渡すクリスマスプレゼントを決められないから一緒に選んで欲しいって頼まれて。

男の意見を聞きたいって言うから、買い物につきあったんだ。

そこを偶然ゆりに見られたんだ」

「そっか、わかった」

「ごめん、本当にその子とは何でもないんだ。

信じてくれる?」

< 243 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop