10年後も、キミと。
まだまだ一緒にいたいのに。

空港に着いてしまった。

出国手続きを済ませて、ふたりで展望デッキに来た。


前、ここに来たのはまだ暑い季節で。

サヨナラしようと決めてたのに、雅人くんに初めてキスされた場所。


今は、くやしいくらいの冬晴れ。


「なんか思い出すな、ここでゆりにキスしたこと」

「私も、おんなじこと考えてた」

「俺たち、まだ始まったばかりだけどさ。

離れちゃうけど、ずっと一緒だからな」

そう言うと、雅人くんはギュッと抱きしめてくれた。

「まわりに人がたくさんいるのに」

「気にすんなよ。

会えない時間の分も、いま我慢して後悔したくないから」
< 276 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop