10年後も、キミと。
ここ数年感じたことないくらい、驚いた。

あまりにも驚いて、声が出なかったくらいだ。


「雅人くん、元気そうだね」

「あぁ、ゆりも」

「びっくりしたよ、偶然だね。あっ、レッスンだったの?」

「そう。あれ、坂口は一緒じゃないの?」

「うん、利絵は委員会で遅いから、先に帰ってきちゃった」


そんな他愛ない会話をしながら、俺は気持ちを落ち着けるのに必死だった。


ゆりのセーラー服姿。

ゆりの声。

ゆりの笑顔。

今は、俺だけのものだから。

心臓が口から飛び出そうなくらい、緊張して、声が震えてた。
< 49 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop