10年後も、キミと。
名簿の雅人くんの名前にチェックを入れて、ネームプレートを渡す。

「ちょうど良かった、いま由紀と利絵が体育館で準備してるの。
雅人くんもピアノの確認とかするよね?
体育館に行ってみて?」

それだけ言うのが精一杯で、思わず顔を伏せたら、


「俺、まだゆりと一緒にいたいんだけど?」


なんて言うから。

ビックリして、顔をあげてしまった。


手を伸ばせば届く距離に、雅人くんがいる。

まわりには誰もいない。

ふたりっきりの状況に気づいたら、心臓がドキドキして何も言えなくなってしまった。

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