嘘つきなポーカー 2
「あの…好きです!」
由佳が玄関のほうへ向かっていると、そう言う女の子の声が聞こえた。
由佳はとっさに靴箱の陰に隠れる。
きっとバレンタインだから、誰かが好きな人に告白しているのだろう。
邪魔しないように、告白が終わるまで待とう――…。
由佳はそう思った。
だがその次に聞こえてきた言葉を聞いて、由佳は耳を疑うことになる。
「入学した時から、ずっと小野寺くんのこと好きでした…」
由佳の心臓がドキンと音を立てた。
小野寺くん――?
嫌な予感がして、由佳が靴箱の陰からこっそりと声のするほうを覗くと、そこには大人しそうな女の子と薫が、2人で立っていた。
由佳の嫌な予感は見事に的中した。
薫が告白されている現場に遭遇してしまったのだ。