嘘つきなポーカー 2
「これ、受け取ってください…」
そう言って震える手で手作りのチョコを手渡した女の子の目には、涙が滲んでいた。
きっと彼女の様子からして、相当勇気を振り絞ったのだろう。
ズキン――
由佳はその姿を見て、激しく胸が痛むのが分かった。
その時だった。
「あっれー?笠原、まだ学校居たの?」
背後から突然声を掛けられ、由佳は心臓が止まりそうになった。
振り返るとそこには、和也の姿があった。
「シーッ!」
だが、由佳がそう言った時にはもう遅かった。
由佳が薫と女の子のほうを見ると、2人とも和也の声に気付いてこちらに視線を向けていた。
だが和也はそれに気付かず、由佳が手に持っている手作りチョコを指差して言った。
「あ!お前、それ…」
その時、何を思ったのか由佳はとっさにそれを和也につき出した。