嘘つきなポーカー 2
「おー、薫!どしたー?」
和也が口を開いた。
予期せぬ薫の登場に、少し動揺しているのが分かる。
だが薫は由佳と和也が一緒に居るところを目にしても、全く表情を変えない。
由佳の胸がズキンと痛む。
「何となく、暇だったから。」
そう言って薫は踊り場に腰を下ろした。
「そうかそうか!それにしても、今日は寒いな!なぁ、笠原?」
和也はそう言って、由佳に視線を向ける。
だが由佳は、助けを求めるようなそんな和也の視線に応えることなく呟いた。
「私、教室戻るね。」
「えっ、笠原…」
何か言いたげな和也を無視して、由佳は非常階段を後にする。
どうして――?
廊下を歩きながら、由佳は思った。
小野寺薫は、私が桐島と一緒に居ても何も思わないの――?
「私だけが、小野寺薫のこと好きなのかな。」
由佳は小さく呟いた。