嘘つきなポーカー 2
由佳は薫の瞳を見つめ返した。
由佳はその真っ直ぐな瞳を、信じようと思った。
何かを隠しているであろう薫のその真っ直ぐな瞳は、きっと本物だと、そう思えたのだ。
河川敷の向こうの地平線に沈む赤い夕日が2人を照らしている。
広い世界で想い合う2人のちっぽけさを嘲笑うかのように、それはとても雄大で美しかった。
「笠原…」
「小野寺薫…」
2人の距離は自然と縮まった。
夕日のせいなのかそうでないのか、2人の頬はほんのり赤く染まっている。
そして2つの唇は、ゆっくりと近付き合った。
そして、2人の唇が重なるか重ならないかのところに来た時、2人の背後で馴染みのある声がした。
「あっれー?笠原と薫じゃん!」
その男のタイミングが悪すぎる登場により、2人の唇は重なり合うことなく離れたのだった。