嘘つきなポーカー 2
「ところで、桐島はこんなところで何してるの?」
由佳は尋ねる。
すると和也は右手に持っていた買い物袋を指差して答えた。
「買い出し頼まれてたんだよ。」
「買い出し?何の?」
由佳が不思議そうに尋ねると、和也は答える。
「あれ、言ってなかったっけ?俺ん家、料亭やってんだよね〜。」
「え?そうなの?」
由佳が驚いたように薫の方を見ると、薫は知っていたと言うようにコクリと頷いた。
「でも桐島って料理できるイメージないよ…」
「うん、全く出来ねーよ。ま、俺は料理人になる気ないしな!」
和也は呑気そうにそう言うと、何かを思い付いたように続ける。
「あ、そうだ!お前ら家に来ないか?親父に紹介がてら、親父の最高の手料理食わせてやるよ!」
「え、ほんと?」
由佳の目が一瞬にして輝いた。
思えば、由佳は朝から何も食べていない。
デートの途中で倒れてしまったせいで、お昼ご飯は食べず終いだった。
要するに、由佳は今腹ペコ状態である。
そしてそれはきっと薫も同じだろう。
「ね、小野寺薫!いいよね?」
由佳がキラキラとした瞳でそう尋ねると、薫は「あぁ。」と答えた。