嘘つきなポーカー 2


すると、薫と奈津子は黙ったまま、気まずそうに目を見合わせた。


「…?」


由佳と華代がよく分からないような顔をしていると、薫と奈津子は目を見合わせたまま小さく頷き、そして奈津子が口を開いた。


「言っていいのか分かんないんだけどさ…」


奈津子はそう言って、暫く躊躇った後、小さな声で話し始めた。


「…実は和也のお母さん、2年前に事故で死んでるんだよね。」

「えっ…」


由佳も華代も目を見開いた。


「あの写真は、和也のお母さんだよ。」


奈津子はそう言って、机の上に置かれた写真を見た。


由佳と華代は、言葉が出てこなかった。

由佳はもう1度写真に目をやった。

和也の机にちょこんと置かれた女性の小さな写真が、由佳にはとても儚く見えた。






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