夜を駆ける
山歩き
 秋の実りは地にも川にも満ちている。山には果実が実り、地面の下には栄養を蓄えて膨らんだ芋が隠れている。


かさかさと枯れ葉を踏みしめながら、皆で誘いあって山に入るのも、この時期ならではだ。


 山胡桃を見つけたハンが、先頭から振り返って大きな声をあげた。


「ちょっと休憩。胡桃を割ってやるから拾ってきな」


 普段、幼い兄弟の子守をしている少し大きな子供達は、お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだからと我慢をしていることが多い。

 だからハンもこんな時だけは甘やかしてやるのだ。


 皆、我先に胡桃の実を拾い、ハンの所まで走って持って行く。


「兄ちゃん割って」

「早く、早く」



 あっという間にハンの回りは胡桃を持った子が集まってきた。
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