夜を駆ける
スポテッドフォーンは黒目がちな大きな目をしていた。目だけ見たら、少女のような光をうかべていて実際に幾つなのか、戸惑ってしまう。
大木のような印象を受けるので、実際の年齢は老境に差し掛かっているようだ。
好奇心を浮かべた目は、いつまでも心が若いことを表していた。きっと幾つ年を重ねても変わらないと思えるなにかが彼女にはあった。
『「さあて。そろそろ行かなくちゃね…会えてよかったワ」』
獣の皮で作られた靴は、足音を吸い取ってしまい、音がしない。
まるでこの世に存在していないみたい。