夜を駆ける
 あたしの体が獣に変わっている。身をよじり、布団をはぐと全身が毛皮に覆われている。腹は白く背中に向けて黄色と黒の縞がはしる。体の先には、きちんとしっぽまで付いている。

 ぱしりと寝台を打つ。自分の意思でしっぽを動かすのは楽しいけれど、どうしたらいいのだろう。


 これは虎だ。



 昨日、スポテッドフォーンから聞かれたことを思い出した。

『「好きな動物は」』

 理解したいと思ったし、最後には少しだけ解りあえたと思ったから虎だと言ったのに。

 そう言っただけで、こんな姿になるものだろうか。

 でもあの二人に会うまでは、あたしの世界はひどく平和で変化の少ないものだった。

 それとも、人食い虎のたたりだろうか。倒した者は、人食い虎になる…とか…。


 とにかくあたしよりは詳しいはずの父を探すことにした。

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