夜を駆ける
 強い口調で言い切ると、下を向いていた瞼がびくりと揺れた。聞いても言う気がないなら、年上だという権力で聞き出すしかない。


 ただ、スンホンは強情だから手こずるだろう。


 顔を上げないスンホンの、後ろに隠した手をつかみ見えるように前に出させた。よく見てみれば、笹の切り傷だけではなく、手のひらは泥まみれで爪の間には土が入り込んでいた。


 何か掘ってたみたい……


「シュウメイ、そろそろ行こう」


 考えこんでいたら、気配がなくやって来たハンに声をかけられ、びくりとした拍子にスンホンの手を離してしまった。

 あたしの手を振りほどいたスンホンは、固まってこちらの様子を伺っていた子供達の群れに紛れてしまった。
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