夜を駆ける
「ここで解散。俺とソウニャ、シュウメイの組に分かれるように。あ、スンホンは俺とな」
組分けをしながら、ハンが目くぼせをした。
「それでいいと思わないでよ、目を離したら駄目だから」
あたしもスンホンが見守れるような位置にいたほうがいい。ハンの組からは離れずにいたほうがいいだろう。
あたしの組には子供が四人。女の子と、その弟といった組み合わせで活発に動くほうではないし、ハンの組について行くことに不平を言うような子供達ではない。
ソウニャが手を振って反対方向に行くのを見送り、ハンの組から少し遅れてついて行くことにした。
「わかる木の実については食べていいけど、茸は聞いてから取ること。あたしの見えない場所へは行かないこと、これは守るようにね」
口々に話しながら松の実や茸を探していく。
腰にも腕にも子供をまとわりつかせながら、ハンは木々を見上げ子供たちに指示を出していた。
「去年この木に、松茸が生えてたから根を追ってみな。今年もあるかもしれない」
わあっと声があがり、子供が分かれた。あたしのまわりの子供も走って行って加わる。
目で子供らを追いながら、背後から強い視線を感じた。射るような痛みすら感じる。
本能が振り向いてはいけない、と警告している。
見たら、一瞬で殺されてしまう。恐怖が体を駆けのぼってきた。
でも見ないではいられない…もし本物の恐怖だとしたら警告をするのが、あたしの役割だ。