王様とうさぎさん
いや、名前も知らないのに、結婚してくれってどうなんだ、と思いながらも、狂人相手に我を張るのも怖い、と思い、素直に名乗った。
「天野莉王……」
「天野、どんな字だ」
軍隊か、此処は、という勢いだった。
「空の天に野原の野、くさかんむりの莉に……
王様の王です」
「王様の王か」
と允は繰り返し、笑う。
うわーっ。
それ、言われたくないんだけどっ。
うちの親が、なんか立派そうだから、というロクでもない理由で当てた漢字だ。
「……なんですか、うさぎさん」
と言ってやると、允はカチンと来たようだったが、そのカチンと来た顔のまま言ってきた。
「王様、俺と結婚してくれ」
「厭です、うさぎさん」
既に交渉は決裂している感じだったが、とりあえず、訊いてみた。
「なんで私と結婚しようと思ったんですか、うさぎさん」
「うさきだ。
お前に霊が見えるからだ」
少し、気が遠くなってきた。
いや、まあ、さっきからそうなんだが。
「天野莉王……」
「天野、どんな字だ」
軍隊か、此処は、という勢いだった。
「空の天に野原の野、くさかんむりの莉に……
王様の王です」
「王様の王か」
と允は繰り返し、笑う。
うわーっ。
それ、言われたくないんだけどっ。
うちの親が、なんか立派そうだから、というロクでもない理由で当てた漢字だ。
「……なんですか、うさぎさん」
と言ってやると、允はカチンと来たようだったが、そのカチンと来た顔のまま言ってきた。
「王様、俺と結婚してくれ」
「厭です、うさぎさん」
既に交渉は決裂している感じだったが、とりあえず、訊いてみた。
「なんで私と結婚しようと思ったんですか、うさぎさん」
「うさきだ。
お前に霊が見えるからだ」
少し、気が遠くなってきた。
いや、まあ、さっきからそうなんだが。