王様とうさぎさん
「寝ようとしたら気配を感じて。

 布団からそっと覗いてみたんですが、何も居ないんです。

 でも、寝ようとすると、声が聞こえて——。

『……探して』
 って」

「朝から怪談はよせ」

「あれっ?
 もしかして、苦手ですか?」

 怪談が得意な人間など居るのか、と允は言う。

「子どもとか大好きですよ。

 一度、お寺で肝試しとかやったらどうですか?

 私、肝試しの前に、怖い話をしてもいいですよ。

 言ってる途中で、祟って出そうにない話なら」
と言うと、

「祟って出る話があるのか」
と言う。

「話しましょうか?」
と言うと、允は即行断ってくる。

「あの、私と結婚しても大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫だ」

「では、今の話の続きを」

 厭がらせではないが、そう言うと、続きがあるのか、とげんなりした顔をする。
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