王様とうさぎさん
 突然、上から目線になった莉王は、ぽん、と允の肩を叩いて言った。

「ほら、何か美味しいものでも食べましょうよ。
 そしたら、気分が切り替わりますよ」

「そうだな。
 何か作ろうかと思ったが、外で食べようか」

 とりあえず、この家を出たいようだった。

「行きたいお店があるんですよ。
 ちょうどよかった」
と微笑むと、允は、

「お前は料理は苦手そうだな」
と呟く。

「なに言ってるんですか。
 私は上手いですよ。

 ただ、あんまり作るのが好きじゃないだけで」

「それはそれで、苦手と言うんじゃないのか?」

「もう〜。
 朝から屁理屈言わないで着替えてくださいよ」
と昨日のシャツのままの允に言う。

「そうだっ。
 私も着替えなきゃっ。

 家に帰らないとっ」
と允を追い立てる。
 
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