王様とうさぎさん
「うちの実家は寺なんだ。
たまに霊障相談が来るんだが、霊が見えないので、どうしていいかわからない」
いや、それで?
「そろそろ実家に戻って、休みの日には坊主の仕事もしろと言われているんだが、やる以上、半端なことはしたくないんだ」
大抵の坊主は霊は祓えないと思いますけどね、と思いながら聞いていたが、口は挟まなかった。
これ以上、面倒なことになるのも厭だったからだ。
「寺に戻るのなら、身を固めろと、檀家さんは勝手に見合い話を進めてくるし」
「そりゃまあ、奥さん居ないと大変ですよね、たぶん」
住職に妻が居ないと、うまく寺の中から回らないだろうな、とは思うが。
「こういう人間は放っておいたら、いつまでも結婚しないから、駄目だと言われたんだ」
同感だな、と思った。
なんて見る目のある檀家さんだ。
何かこう、このひと、そういうことに向いていない、と思う。
さっきの告白からしても。
嘘でも、ずっと見てましたくらい言えばいいのに。
女心もわからないうえに、特に恋愛にも興味なさそうだ。
たまに霊障相談が来るんだが、霊が見えないので、どうしていいかわからない」
いや、それで?
「そろそろ実家に戻って、休みの日には坊主の仕事もしろと言われているんだが、やる以上、半端なことはしたくないんだ」
大抵の坊主は霊は祓えないと思いますけどね、と思いながら聞いていたが、口は挟まなかった。
これ以上、面倒なことになるのも厭だったからだ。
「寺に戻るのなら、身を固めろと、檀家さんは勝手に見合い話を進めてくるし」
「そりゃまあ、奥さん居ないと大変ですよね、たぶん」
住職に妻が居ないと、うまく寺の中から回らないだろうな、とは思うが。
「こういう人間は放っておいたら、いつまでも結婚しないから、駄目だと言われたんだ」
同感だな、と思った。
なんて見る目のある檀家さんだ。
何かこう、このひと、そういうことに向いていない、と思う。
さっきの告白からしても。
嘘でも、ずっと見てましたくらい言えばいいのに。
女心もわからないうえに、特に恋愛にも興味なさそうだ。