王様とうさぎさん
「彼女は高崎と付き合ってたのか?」

「知らないけど。
 清香好みのイケメンって言ったら、あれくらいしか居ないなって。

 よく考えたら、その直後、高崎、結婚してるし、別の女と」

「どうするんだ?」
と訊かれた忍は、

「どうもしないよ。
 だって、もう終わったことじゃないか。

 本当に高崎が憎かったら、清香は自分であっちに呪って出るだろうし」

 第一、証拠もないし、ほんとかどうかわからない、と言う。

「まあ、イケメン、というだけでは警察は逮捕してくれないでしょうね」
と莉王は呟く。

「すべては僕の妄想だよ。

 王様、清香に、正解訊いてみて。

 それで、なにか僕にして欲しいことがあるのなら言ってって」

「高崎先生を殺してくださいって言われたらどうするんですか?」

「それは受けられないな」
と忍は笑う。

「あのときでも、受けられなかったよ。

 ……僕は薄情な男なんだ」

 本当に薄情なら、こんな店作ったり、允さんへの厭がらせのために、私にキスしたりしないと思うけどな、と思っていた。
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