王様とうさぎさん
 相変わらず公明正大だ。

 駐車場まで後少し、というところで、ふいに允の手が探るようにして、手を繋いできた。

 離そうと少し振ってみたが、離れなかったので、すぐに観念する。

 じたばたする方が目立つからだ。

 既に、呑み屋街に続く通りには結構人通りがある。

「……あの、誰かに見られます」

「また敬語に戻ってるのはなんでだ」

「だから、貴方と距離を置きたいからですよ」

 允は足を止め、莉王を見る。

「俺が嫌いなのか?」

 いや、その威圧感。

 完全に、嫌い、という言葉を言わせない感じですよね?
と思いながらも言っていた。

「嫌いです」

 允の手がぴくりと震える。
< 413 / 508 >

この作品をシェア

pagetop