王様とうさぎさん
「……わ、私の意見を聞いてくれない允さんは嫌いですっ。

 私、教会で式をしたかったっ」

 允が、は? という顔をする。

「結婚前に、お母さんとかとゆっくり温泉に行ったり、嫁入り前に家族団らんしたかったし。

 ウエディングドレス試着してみたり。

 料理の試食とかまである式場のバスツアーにも行ってみたかったしっ。

 新居だって、いろいろ夢があったんですよっ」

「そ、そんなことか?」

 そんなことじゃないっ、と允の胸を叩く。

「允さん、なんにもわかってないっ」
と泣きそうになったとき、允が言った。

「それは、俺のことは嫌いじゃないということか?

 俺と結婚するのは、厭じゃないんだな?」

「そっ、そうもかれしないけどっ。

 今、そんなこと関係ないのっ」

 わかった、わかった、と允が笑って言う。
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