王様とうさぎさん
「あさって、結婚する話はしたんですか?」
と問うと、

「した」
と言う。

「驚かなかったですか?」

「驚いてたけど。
 そういう風習なんです、と言ったら、そうですかって」

 ざっくりした親だからなあ……。

 泣いて引き止めて欲しいとは言わないが、あまりにあっさり送り出されるのもな、と思っていた。

 そこで、ちょっと言いにくそうに允が言う。

「『妊娠したとかじゃないですよね』
と確認されたので、もちろんです、と答えておいた」

「そりゃまあ。
 私、マリア様じゃないんで」

 それにしても、家がどうなってるのか気になる、と携帯からかけて見ると、妹の和子(わこ)が出た。

「もうっ。
 おねえちゃん、びっくりさせないでよーっ」
と出た途端、叫び出す。

「朝、いきなり、お父さんの知り合いって人から電話かかってきて、びっくりしたわよ。

 それにしても、おねえちゃん、結局、お坊さんと結婚するのね。

 お母さんが、絶対、そうなると思ったって言ってた」

 なんでだ……。

 私は極力避けたいと思ってたのに。
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