王様とうさぎさん
サッカー部の王子様
深夜、目を覚ました真人は、自分が誰かと手を握ったまま、眠っていたことに気がついた。
細い、女の子の手だ。
横を見る。
莉王がカーペットの上に寝ていた。
お腹にはカーディガンだけがかかっている。
風邪ひくだろ、と思って見ると、自分はクッションを枕に、ブランケットをかけてもらっていた。
莉王がかけてくれたようだった。
そういえば、酒臭くなるからクッションを離せっ、と莉王がわめいていたな、と酔いのせいで、聞き流したそれを、今、思い出し、笑ってしまう。
片手で莉王にブランケットをかけてやる。
莉王は、実に気持ち良さそうな顔で寝ていた。
なんの夢を見てんだろうな、と思ったあとで、寝る前に自分が何を言ったのか思い出していた。
『莉王。
卯崎允は人殺しだ――』
莉王が困惑したような顔をしていた。