キミがこの手を取ってくれるなら
3、近づく気持ち、向き合う覚悟
翌日。
私達は、市内のホテルの取材をしていた。
この時期になると、企画部はクリスマスの特集号に向けて、レストランやら、ケーキ屋さんやら、ホテルやらに振り分けられて、それぞれの取材に追われることになる。
ちなみに、本日は『ご休憩』があるほうのホテルの取材だ。
「この3人でホテルの取材って、何か意味深っすね。」と、ウキウキした様子で話すのはもちろん沖田くんだ。
「おいおい、意味深って何だよ。変なこと考えてないでちゃんと取材しろよ。」
「そうよ。3人って何よ!あたしのこと、さらっと省いてんじゃないわよ、沖田!」
と北原さんと嶺岸さんが同時に突っ込んだ。
嶺岸遥(みねぎし はるか)さんは、北原さんと同期で、企画部でカメラマンをしている。男顔負けでバリバリ仕事をこなすその姿を、私は尊敬し、ひそかに目標にしている。
「姫さんの彼氏も、やきもきしてるんじゃないんですか?元彼と一緒ですもんね。」
またはじまったよ…。