キミがこの手を取ってくれるなら

沖田くんは、なぜか私と北原さんが付き合っていたと思い込んでいる。抱き抱えられてるとこを見られたりしたから、いろいろと誤解されたのかもしれないんだけど……


だって、最初に告白されたセリフが「姫さん!不倫はダメです。北原さんにはもうお子さんもいるんですから、姫さんが傷つくだけです。付き合うなら俺にしときませんか?」だったもん。

失礼にも程がある。

「だから、北原さんとは何にもないって言ってるでしょ!」

思わず、大声を出してしまっていた。いちいち反応するから、からかわれちゃうのかな…


「それよりも姫ちゃん。さらっと流した『彼氏』のほうが、私は気になってるんだけど。」と嶺岸さんが食いついてきた。

…うまく流したと思ったのに。

「昨日、姫さんのこと居酒屋で口説いてたら、突然彼氏が現れて持ってかれたんです。ってかあの人彼氏なんですか?」

「で、どうなの?姫ちゃん?」

ここは彼氏って言っておくべきだろうか?
でも、沖田くんが面倒だから『彼氏』と言ってしまうのはじゅんたに悪いような気がする…


「ひ、秘密です…」
とりあえず、こう言っておこう。


2人が「えー、ずるいっすよ。」とか「教えてよー。」とか言ってる横で北原さんがにやにやしている。

誰が来たかばれてる…


「さ、雑談は終わりだ。取材、取材。」
北原さんの一声で、私たちは取材の用意に入った。
< 109 / 216 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop