キミがこの手を取ってくれるなら
私が中学に入っても、奏ちゃんは相変わらずもてていた。
最初のうちこそやきもきしたり、アプローチして来る子たちに、睨みをきかせてみたりしていたけど、告白はあまりにも頻繁で、奏ちゃんも特定の人をつくらなかったせいもあって……なんとなく慣れてしまっていた。
自分がぶれないで「好き」って思ってたら大丈夫だと信じてたし、願いはきっと叶うと思いこんでいたから。
『いつか、王子様(奏ちゃん)は、お姫様(私)の想いに応えてくれる』という、ハッピーエンドを。
今思えば、何の根拠もない虚しい願いだったけど、その頃の私は信じて疑っていなかった。
私は、突っ走って思い込む性格なのだ。
そして奏ちゃんとじゅんたが中学校を卒業し、市内でも有数な進学校に進学して半年ほど過ぎた頃、私にとって衝撃的な出来事が起こる。
奏ちゃんに彼女ができたのだ。