キミがこの手を取ってくれるなら
翌日。
出社すると予想した通りに北原さんに捕獲され、ミーティングルームに連れていかれた。
「沖田のやつ、焦っちゃったんだよ」
お前のことだ、ばか正直に彼氏はいないって言ってたんだろ?チャンスだと思って口説いてみたらさらっとかわされるわ、彼氏らしき男が現れるわ。散々だったもんな。
許してやれよ。お前らなかなかいいコンビなんだから。
そう言われて北原さんが私達のことをかなり心配してくれていたことにようやく気がついた。私は申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、「はい。ご心配おかけしました。」と答えた。
***
「ほんとに、すみませんでしたあっ!」
会うなり沖田くんは土下座か、ってくらいの勢いで謝ってきた。
…まぁ、悪い子じゃないんだよな。
今回は私のせいで余計に怒られちゃったみたいだし、許してあげようかな。
「そんなに謝らなくていいよ。私のほうこそ、びっくりしちゃってごめんね」
「コンビ解消しませんよね?!」
「解消したいって昨日までは思ってたけどね…まぁ、しないわよ。」
「…ありがとうございますっ!姫さん!
でも、ひとつだけ聞いてもいいですか?」
「何?」
「やっぱりあの人のこと、すごい気になるんですけど。かっこよかったし……あの彼、姫さんのほんとの彼氏ですか?」
…許すのやめようかな
「大切な人よ。」
私はそれだけ答えた。
幼なじみだけど、もう友達じゃない。でも恋人とも違う、大切な…とっても大切な人。
沖田くんがどう受けとるか…。
後はご想像にお任せします、だ。