キミがこの手を取ってくれるなら

だってあの時の事が無かったら、私の大切な大切な幼なじみ2人とは一緒にいられなかったかもしれないもの。

三浦くんは「大切なものって?」と不思議そうにしながらも、「また会おうな」と言ってくれた。

もっと、彼に会うまでは緊張したり、過去の苦い、嫌な思い出や恐怖がよみがえってくるんじゃないかと恐れていた。でも、そうはならず、私はちゃんと三浦くんに向き合って話をすることができた。

たぶん、あの日じゅんたに抱きしめてもらったからだ。じゅんたの腕の中で安心できたから、男の人は怖くないって思えた。


そのまま私は「Milky Way」へと向かった。

ハートのラテの意味が分かったあの日、私はひとりじゃないってことも分かった。


今日は紫ちゃんが私の帰りを待っててくれている。


大切な友達と、幼なじみのおかげで、私はやっと苦しい過去と『とことん』向き合うことができたんだ。


***

「Milky Way」のカウンター席で紫ちゃんは待っててくれていたけど、一人ではなかった。
隣の男を見て驚く。

「何でじゅんたがいるの?」

「ひでーな、奈子。何ではないだろ」

「だって…びっくりしたから」

紫ちゃんが口を開く。

「一人で待ってるなんて言わなかったわよ。
今日は頑張った奈緒子ちゃんに、いーっぱいケーキを奢ってあげるのよ。…純くんがね」

「俺は財布かよ」


同窓会には三浦くんも来るって分かってたから、じゅんたはもしかしたら私のことを心配して来てくれたのかもしれない。紫ちゃんも教えてくれればいいのに…て言うか、紫ちゃん、じゅんたと奏ちゃんにいろんな情報流し過ぎだよ。

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