キミがこの手を取ってくれるなら
告白をした私に、奏ちゃんは穏やかな表情を見せた。
それから「全部の気持ちに区切りをつけたんだよな。…俺のせいで…長い間ごめんな」と少しだけ申し訳なさそうな顔で言った。
やっぱり、彼には隠せなかった。
私は、こくりと頷いた。
奏ちゃんは私の目を見つめながら、ゆっくりと話しはじめた。
それは奏ちゃんからのはじめての告白だった。
「俺は奈緒のことが誰よりも好きだった。初めて会った時から。もちろん奈緒も俺のことが好きだったのは分かってたし、奈緒の側に寄り添うのは自分だと思っていたよ」
子どもの頃は照れ臭くて口にはできなかったけどな、とフッと笑いながら。
私の想いは通じていたのだ。
「何で何も言ってくれなかったの?私がどんな思いでいたか…分かってたでしょう?」
そう口にした私の言葉を遮るように、また奏ちゃんは話しはじめた。
「気づいたんだよ」
きっかけは、ほんのささいなことだった、と。
「小学校の頃、雪合戦した次の日に奈緒が高熱を出して寝込んだことがあっただろう?」
それならよく覚えている。小学3年生の冬だ。熱で朦朧とする中、何度も奏ちゃんのことを呼んだのに、じゅんたが部屋に居座ってちっとも呼んでくれなかったあの日のことだ。