キミがこの手を取ってくれるなら
2、ただ、そっと手を重ねて
そして、7月7日。
現在14時を回ったところ。
……私は、今自分のことがとても嫌いになっている。
ついさっきじゅんたにかけられた言葉。
「奈子、着いたぞ。いいかげん起きろよ」
「えっ、……着いた?!」
…そう。寝不足のあまり、私は式場に向かう車の中で寝てしまったのだ。運転させて、しかもぐーすか寝ちゃうなんて、恥ずかしすぎる。
「ご、ご、ごめんなさいっ!」
「しかし、気持ちよさそうに寝てたよな」
…はい。寝てました。呑気に今までのことを夢に見てました。しかも、走馬灯レベルで。
私、今日で人生終わっちゃったりして…
「おい、よだれ」
「えっ!」
「嘘ー」
「ひ、ひどいっ…」
「ふて寝してるからだよ」
「あたし…ふて寝なんて…」
「してただろ。朝からずっと機嫌悪かっただろうが」
確かに私は機嫌が悪かった。
昨日、20年も信じ続けてきた想いを終わらせたから。
…違う。信じてきた気持ちがまるでカードをめくるようにあっという間にひっくり返されたからだ。