キミがこの手を取ってくれるなら
昨日、私の心の中にざっくりと深い傷をつけたのは、私にずっと気持ちを伝えてくれなかった奏ちゃんだったし、私の恋に何も言ってくれなかったじゅんただったし、自分のことしか考えずに2人の気持ちを知ろうとしてこなかった私自身だった。
でも、そうしてついた失恋の傷口から流れ出したのは痛みではなく、溢れるほどのじゅんたへの愛情だった。
自覚した気持ちを抑えることはできなくて、じゅんたの気持ちにようやく応えられることを心の底から嬉しいと思った。
どう伝えようか、顔を合わせたらどうなってしまうのか、考えたら眠れなくなるほど明日が待ち遠しくなってしまっていたのに…
まさか、あんな形で朝から現れるなんて…
戸惑うよりも先に顔を合わせてしまった。
…そう。私は完全に出鼻をくじかれたのだ。
何もかも、じゅんたのせいだ。
完全に八つ当たりだけど、もう素直に気持ちを伝えられなくなってしまっていた。
そんな勇気のない自分が嫌だ。
私は…今世界でいちばん機嫌が悪い。